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993話

「でも、茜ちゃんは私の胸に顔をうずめて言ったんだ。『張お兄ちゃん、これからは瑶姉さんに優しくしてあげてね』って」

その言葉には何か意味がありそうだった。顔を上げて玉城瑶を見ると、彼女は急に顔をそむけた。

だが、彼女が顔を背けた一瞬、頬に走った赤みと、目に宿った恥じらいを見逃さなかった。

どうやら、昨夜は本当に何かあったようだ。

思わず苦笑いが漏れる。

今や彼女に対する借りはさらに増えてしまった。

ベッドから起き上がり、彼女の抵抗も構わず、一気に腕の中に引き寄せ、何かを言おうとした。

だが予想外なことに、そのとき、外から突然耳をつんざくような鐘の音が響いてきた。

その音は大きく急...