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984話

ただ、以前よりも少し速度が遅くなっただけだ。

自分が薬が煎じ上がる瞬間まで持ちこたえられるかどうか、わからなかった。

朦朧とした意識の中で、私は自分の体内に侵入してきた影が私に向かって狂ったように咆哮しているのを感じ取ることができた。私の感覚では、それは人型の悪魔だったが、その顔を見ることはできなかった。

もちろん、その姿については、おそらく私は見たことがあるのだろう。かつて野人の禁地にある血の谷で、赤い泉の水面に映る見知らぬ人の顔を見たことがあった。

私の推測では、あれが魔鬼荒の顔だったのだろう。

今この瞬間、私の魂の世界では、彼は果てしない大海のようでもあり、また止むことのない狂風のようで...