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934話

大黑はきつく唇を噛みしめ、今となっては少し躊躇しているようだった。

この男は先ほどまで強く先に進むことを主張していたのだ。

だが、たくさんの宝物を手に入れた今、彼の心境はすでに変わっていた。

「やっぱり...開けないでおこうぜ。アブラの遺体なんてものは確かに並外れた宝だが、俺たちのような身分で手に入れられるものじゃない。宝を持てば災いを招くって道理は分かってる。今回これだけの財宝を手に入れられただけでも十分すごいことだ。テミ様は必ずアブラの遺体を持ち帰れと言ったが、みんなが黙ってれば、知るはずもないだろう?」

彼が言うテミ様とは、あの船長の太った男のことだ。

こいつはこの棺の発見を隠し、何も見...