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917話

そして船上の微かな灯火は、まるで荒れ狂う波の中の一葉の小舟のように、今にも飲み込まれそうだった。

こんな薄暗い天候は、こそこそとした事をするにはちょうどいい。

茜たちがすっかり夢の世界に沈んだのを見計らって。

私は一人で小五郎の部屋へと忍び寄った。

こいつの部屋の扉には鍵がかかっていたが、私には何の障害にもならない。野蛮人の鍵など一撃で粉砕できるものだ。

もちろん、小五郎の警戒心はかなり高かった。

私が入るなり、奴はすぐに飛び起き、冷たく「誰だ!」と叫んだ。

こいつの反応は流石に素早い。

私は冷笑いながら言った。「お前を地獄に送りに来たんだよ」

私の声を、小五郎はもちろん覚えている。奴は一瞬に...