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905話

「この石船には帆があるが、風だけに頼っているわけではなく、人力が主だ。俺たちが下で漕いでいるのが、船を進める主な動力のひとつなんだ」

この船室内の櫂は、最も小さいものでも二メートルあり、少なくとも二人がかりでないと漕げない。もっと大きいものになると、四、五人の力を合わせなければならないほどだ。

ここで櫂を漕ぐのに休憩時間はほとんどなく、昼食のためにわずか三十分だけが与えられる。一度作業が始まれば、朝から晩まで休むことなく続けなければならない。

しかも、船がこれらの船夫たちに提供する食事は、ひどいものだった。腐った野菜の葉っぱに、米粒すら見えない薄いスープが混ざっているだけだ。

今になっ...