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885話

とはいえ、今ここで怪物が現れたところで、せいぜい私たちが死ぬだけのことだ。

この間ずっと、私は死の淵で足掻いてきたじゃないか。

そう考えると、今この状況も、別に怖がることもないのかもしれない。

それに、もし呪いが発動したら、私の末路は死よりも酷いものになる。今ここで死ぬのも、案外良い結末かもしれないな。

ただ、茜や玉城瑤が気の毒だ。

だが、茜はそうは思っていないらしい。彼女は私の手をぎゅっと握り締め、表情も比較的落ち着いている。

一方、玉城瑤は今、私たち二人が手を繋いで難に遭った恋人同士のような姿を見て、複雑な眼差しを向けてきた。その目には、何かを失ったような暗さと、羨ましさ、そして葛藤が混ざ...