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838話

私はほとんど幽霊でも見たかと思った。

だが、よく考えてみれば、こいつの運の良さは並外れたものだったのかもしれない。

あの時、奴の首に足を踏みつけた時、確かに骨の折れる音が聞こえた。だが人間の首には多くの骨があり、たまたま致命的ではない部分が砕けただけだったのかもしれない。

それに、尻尾を持つこの怪物は、首の構造が普通の人間とは異なっているのかもしれない。たとえ重要な骨が砕けたとしても、死に至らなかった可能性がある。

これは私の油断だった。

あの時、審判の反対を押し切ってもう一太刀与えるべきだった。

そして今、こいつが近づいてきた瞬間から、何か違和感を覚えた。あの不気味で得意げな様子は、まるで私...