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816話

結局、この武器はあまりにも優位に立ち過ぎていた。あの怪虫と接触するたびに、その分厚い甲殻にはひびが入っていく。こんなものが私の相手になるはずがない。

しばらくすると、それは全身傷だらけの死骸と化していた。

私はその怪物の牙を切り落とし、記念と証拠にした。

本来ならこいつを倒して非常に喜ぶべきはずなのに、この瞬間、私の心は不安で満ちていた。

自分の姿を怪虫の黒い血液に映った影に映して見ると、そこに映る男がとても見知らぬ者に思えた。その容貌は確かに私自身のものだが、充血した両目と、あまりにも凶暴な表情をしていた。

顔の骨格に変化はなくとも、私の表情や仕草が、知らぬ間に禁地の血の泉で見た悪...