Read with BonusRead with Bonus

794話

それは机の前に来て、杯を手に取り、眺めてから再び置いた。

そして、扉を開け、外の庭へと歩み出た。

その瞬間、私は本当に恐怖で凍りついた。

何が私の体を操っているのか?あの所謂「神霊」が、ついに降臨したのだろうか?

私は苦労の末にようやく月の都にたどり着き、魔鬼湖で呪いを解く方法を見つけようとしていたのに、すべてが手遅れになってしまったのか。

私は完全に消えてしまうのだろうか?

私の体を乗っ取ったあの何者かは、この体で一体何をしようとしているのか?

この時の私は、まるで暗闇の中のか細い灯火のよう。いつ狂風に消されてもおかしくなく、また荒波立つ怒涛の中の一葉の小舟のように、今にも波に飲まれそうだっ...