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782話

「まぁ、彼が演技をしているかどうかも分からないけど」

少し躊躇した後、私は正直に話すことにした。誰かが阿若を連れ去ったのだと。

この月の都では、私はまだ新参者だ。多少の力は持っているものの、金も権力もない。一人で阿若を見つけ出すのは、ほぼ不可能なことだった。唯一の方法は、誰かの助けを借りることだ。

そして私を助けてくれそうな人物といえば、おそらくこの武王様・烈山凛しかいなかった。

だが、私の気持ちを一気に奈落の底に突き落としたのは、烈山凛が私の話を聞いた瞬間、一瞬固まり、顔に残っていた酔いの色もきれいに消え、はっきりと目が覚めたようになったことだ。

そして彼は私の手を取り、額に触れ、困惑...