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728話

「お前が好きだなんて冗談じゃないわ。話してる時の歯ぎしりが聞こえるわよ。愛してる?笑わせないで」

「さっさと動きなさい、早く!」

私の銃口は相変わらず彼女から離れない。紗子も特に抵抗せず、私たちは素早く森の奥へと這って進んだ。

ロシア人たちは周囲に他の伏兵や爆薬があることを恐れ、しばらくは私たちを追ってこなかった。

おかげで少し息をつくことができた。

奴らが本気で追ってくれば、今の私と紗子の状態では、三つ巴の混戦になり、最後に誰が勝者になるかは分からなくなるだろう。

ロシア人たちから逃れた後、私は紗子を押しながらしばらく歩いていると、前方に真っ暗な小さな洞窟が見えた。隠れるのに最適な場所だった...