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614話

「隊に女性がいても、誰も鏡なんて無駄なものを持ち歩いていない。美しさを気にしないわけじゃない、ただこんな場所では、美しさに気を遣う暇などないだけだ」

だが、それは私には問題ではなかった。他の者が気づかないうちに、地面に小さな穴を掘り、水筒の水をそこに注いだ。

こうして、即席の鏡が出来上がった。

私は深く息を吸い込み、ゆっくりとその特別な鏡を覗き込んだ。

おそらく私たち誰もが、社会の中で、他人の前で、ある種の仮面をつけているのだろう。

一人きりの時でさえ、自分自身を本当に見つめることができているとは限らない。

実際、人が最も見極めにくいのは自分自身なのだ。

「廬山の真の姿を知らない...