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595話

残念だが、彼女の感情はあまりにも奇妙で異常で、受け入れられない。

彼女が私に恋をしたのは、ただの因果な縁としか言いようがない。

茜が私に身を委ねたことは、皆の心に少なからぬ波紋を広げたはずだが、表面上は誰も沈黙を守り、何も語らなかった。私たちは黙々と朝食を済ませ、黙々と前進を続けた。

道中、幾多の危険に遭遇したが、ようやく今日の昼頃、私たちは目的地にたどり着いた。

今、目の前に広がるのは、五、六メートルはあろうかという巨大な門構えだ。この門は全体が灰黒色の石材で造られており、石の扉はぴったりと閉ざされていた。

この代物の大きさと材質から見て、相当な重量だろうと思われた。私たち数人で押してみたが...