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580話

地下には何度か足を運んだことがある。あそこは非常に危険な場所だ。会社の人間は今頃、何かトラブルに巻き込まれて脱出できないのだろう。

そうでなければ、彼らが二人でも現れれば、紗子は生き延びることは難しかったはずだ。

もっとも、今の彼女も死を免れることはできない。ただ、私に殺されるという結末に変わっただけだ。

紗子は必死に走り続けた後、背後に追っ手がいないことに気づき、明らかに緊張が解けた様子だった。前方に洞窟を見つけると、すぐさま中に潜り込み、傷の手当てをしようとしているようだった。

洞窟の中は非常に暗く、中の状況はよく見えなかった。だが、負傷した小さなスパイ一人くらい、私とドゥアーの二人で...