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578話

死人だらけの場所を歩いていると、なんとも言えない不気味さに襲われる。頭上を旋回するカラスや禿鷹たちが発する鋭い鳴き声が、さらに胸に重苦しさを募らせる。

私は慎重に辺りを見回したが、今のところ秦小怜の亡骸は見当たらない。

だが、彼女はおそらく死んだのだろう。あの会社の連中は、そう簡単に騙されるような甘い相手ではない。野人たちのように彼女を麓の娘だとか思い込むなんて、笑止千万だ。

この女が死んだのは、我々にとっては良いことと言えるだろう。

しかし、喜びを感じることはできない。結局のところ、彼女も我々と同じ部外者だ。たとえ今は敵対関係になっていても、「兎死して狐悲しむ」という気持ちがある。

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