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518話

この時点で、もう私はあの女スパイのことなど相手にする気分ではなかった。

まずは島に戻って、それからゆっくりと彼女の処遇について考えればいい。

島の輪郭は近く見えていたが、それでも私たちは半日かけて漕ぎ続け、ようやく海岸にたどり着いた。

この島がやはり人の気配のない場所だと分かると、舒児と雲児はがっかりした様子を見せた。海の危険から脱出できたことには喜んでいたものの、彼女たちはつい最近までこの島にいたのだから。

彼女たちにとっては、この数日間の努力がすべて無駄になったも同然で、少女たちの気持ちが沈むのも当然だった。

私は彼女たちの頭を撫でたが、どう慰めればいいのか分からなかった。彼女たちは文...