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338話

その三日目の午後、事件は起きた。

仮設キャンプで夕食を済ませ、休憩していると、アカネがテントに入ってきて、突然私をきつく抱きしめた。その目からは真珠のような涙が零れ落ちていた。

「張お兄ちゃん、ごめんなさい。私、しばらく離れなきゃいけないの。失踪したおばあちゃんを探しに行くから……」

その言葉を聞いて、私は完全に固まってしまった。

「アカネ、君、正気か?もしおばあさんが生きているとしても、少なくとも九十歳はいってるはずだぞ。悪いけど、この無人島の医療環境じゃ、生きているはずがない。どこに探しに行くつもりなんだ?」

「張お兄ちゃん、物事はあなたが思うほど単純じゃないの……」

アカネは...