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3083話

「はい!」

轟音とともに、先ほどまで構えていた異能力者たちが蜂の巣をつついたように四方に散っていった。瞬く間に、軍事基地は元の姿を取り戻した。

見渡せば、テントなどの建物を除いて、広々とした空間に人影はない。

もちろん、目の前の火猿(カーホウ)は例外だが。

私は少し驚いた様子で彼を見つめていた。かつて組織の要請を二つ返事で引き受け、南米大陸の企業に潜入捜査に行っていた間、火猿がどんな経験をしてきたのか想像もつかない。

火猿と私は同じ小隊の出身だ。

彼の軍の階級はもともと低かったはずだが、先ほどの振る舞いを見る限り、今ではかなり出世したようだ。昔のふざけた態度や軽薄な雰囲気とは、まるで別人のよう...