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3064話

「なるほど」

彼の顔に様々な表情が浮かんでは消え、最後にゆっくりと目を閉じた。まるで自分の運命を悟ったかのように。

愚かな賢者というべきか。

私は一瞬たじろいだが、少しも躊躇わず、素早く容赦なくその命を絶った。

赤裸で浮腫んだ死体を見つめながら、深く息を吸い込んだ後、独り言を呟きながら洞窟を後にした。確かに彼は聡明だった。知っていることを全て話しても最後は死ぬと悟り、とっくに覚悟を決めていたのだろう。

だが同時に愚かでもあった。もっと早く口を開いていれば、あれほどの苦痛を味わわずに済んだのに。私もずいぶん手間が省けたはずだ。

そうすれば、どちらにとっても良かったのに。

「これは少し厄介になった...