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3060話

私は首を横に振った。

私は自分のことを情け深い人間だとは思ったことがない。結局のところ、この手にも人の命が染みついている。彼を一人殺したところで大した問題ではない。特に今は彼の口から欲しい情報を引き出そうとしているのだから。

私は床に落ちている、彼の唾液にまみれた靴下を拾い上げた。

これから与える拷問で彼が声を出せないようにするため、靴下を丸めてボール状にし、再び彼の口に押し込んだ。

「チャンスはやったんだ。自分で大事にしなかったんだな」

私は独り言のように言った。「でも私は元々優しい方でね。考えが変わったら、頷くだけでいい」

「うぅうぅ……」

靴下で口を塞がれた彼は、哀れな呻き声しか出せなか...