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3056話

「まだ死ぬような状況でもないのに毒嚢を噛み破るとはな。こいつもなかなかの剛の者だ」

私は口元を少し引きつらせた。

他の誰かなら、この状況でさっさとこいつを放り出して逃げ出していただろう。だが、私が情報の宝庫となる子羊をただで逃がすわけがない。

私は彼が先ほど私を刺した短剣を手に取り、自分の掌を切り裂いた。そして自分の血を無理やり彼の口に流し込んだ。自分の血液がこの猛毒の効果を打ち消せるかどうか試したことはなかったが、おそらく効果はあるはずだ。ただ、彼らの体質は私ほど異常ではないから、回復にはもう少し時間がかかるだろう。

男はすでに気を失っていた。

私は彼の身体を念入りに調べ、追跡や位置特定に使...