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3016話

私の言う「省エネ」とは、あのトカゲ人たちのためではなく、私自身のためなのだ。

というのも、つい先ほどまで、どうやってキラル部族に侵入し、かつトカゲ人たちに発見されずにすむかと頭を悩ませていたところに、その方法が自然と目の前に現れたのだから。

トロイの木馬。

それは古い故事だ。ギリシャ兵が特洛伊を攻めた際、撤退を装って巨大な木馬を残していった。

特洛伊の兵士たちは計略と知らず、戦利品として城内へ運び込んだ。

城に入ると、木馬の腹に潜んでいたギリシャ兵たちが一斉に飛び出し、内外から挟み撃ちにして、ついには特洛伊は国も民も滅びてしまった。

単純な話だが、ギリシャ兵の手法は私に閃きを与えてくれた...