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2988話

その瞬間、外に出た。

温かな陽の光が全身を包み込み、辺りを見渡すと、私たちが今いる場所がかなりの高所であることに気づいた。しかも、小さな滝のすぐ傍に位置している。小川が私たちのすぐそばを流れ、階段状の平坦な地面を通り過ぎた後、再び滝となって下方へと流れ落ちていた。

「あそこは……」

ただ一瞥しただけで、私の視線は突然、遠くない場所にある見覚えのある地点で止まった。

滝の下方に広がる鬱蒼とした森、おそらく北方向だ。

その森には大きな空洞があり、私たちのいる場所からでもはっきりと見える。あれはドリーネだ。

記憶の中から、無数の馴染みのある光景が一気に溢れ出してきた。

私はあそこに住んでいたことが...