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2952話

最後の一歩を踏み出した時。

私と原住民の距離は、わずか一メートルも残っていなかった。今、私たちは向かい合って立っている。彼の背中の籠には、もう一本の毒矢しか残っていない。彼の手に握られた弓は満月のように引き絞られていた。

だが。

彼はなかなか矢を放つ勇気が出ないでいた。

「あ……」

彼の口は大きく開かれ、乾ききった喉からはもはや何の音も出せなかった。彼は私をじっと見つめ、私の体に刺さった毒矢の数々を凝視していた。今の彼が最も理解できないのは、なぜ私が矢を受けても即死しないかということだろう。

だが残念なことに、彼はそれを知ることなく死ぬことになる。

「さようなら」

私は現地の原住民言葉で、彼に...