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2943話

「そうだな」

今まで漂っていたほのかな香りが、さらに濃厚になってきた。よく嗅いでみると、確かに油脂の香りにそっくりだ。

私は隣の鍾乳石の壁に目をやった。

だが、こんな場所でなぜこのような匂いが?

私は一つの道理をよく心得ている——異常なことが起きる場所ほど、より一層の警戒が必要だということだ。

他の隊員たちも当然そのことを理解していた。先頭を切って進んでいたリーダーもちょうどこのとき隊を止め、ようやく十数秒後、誰かが匂いの出所を発見した。

「床に……油がある」

油?

一言で目が覚めた。全員がほぼ同時に頭を下げ、手に持った強力な懐中電灯で床を照らした。よく見ると、確かに!

長い年月をかけて形成さ...