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2937話

兵士を輸送するにはあまり適していないだろう。もちろん、それらの車が人を運べないとは言っていないが、この辺りの道は車が入れないのだ。

地形が険しいうえに、あちこちに根を張り巡らせた大木があり、ここに道を切り開こうとすれば、膨大な人手がかかるだろう。

進軍中の部隊からは、もはや笑い声も冗談も聞こえない。

むしろ、人を押しつぶすような沈黙と緊張感が漂っていた。何度も踏み固められたこの森の小道を見つめながら、私は黙って頭を垂れ、大部隊の足取りに合わせて、一歩一歩前進していく。

「ガルルッ!」

行進の途中、思わぬ出来事も起きる。

例えば、どこからともなく飛び出してくる野犬のような姿をした獣。...