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2924話

「荷物はすべて用意できたか?」

「ああ」

私は両手を広げ、肯定ともつかぬ笑みを浮かべた。

来た時は何も持たずに来たのだから、去る時も当然持っていくものなどない。特に今の私にとっては、この命さえ携えていれば、他のものはそれほど重要ではなかった。

「高速道路は使えないことは既に人に確認させた。一般道を行くしかない」

蕭社長は私の肩を叩いた。「江遠市から南海の国境地帯までは、順調にいけば一日半ほどかかる。途中で何か予期せぬことが起きたら、臨機応変に対応するしかないがな」

「分かりました」

私は頷いた。

今の国内では、異能管理局に所属していない異能者は、まさに街中で追い回される鼠同然、誰もが敵視する存...