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2917話

この別れも、いつまた会えるのか分からない。

道路を東へ進み、十分ほどで県城の城門が見えてきた。

何台かの車が私の脇を通り過ぎていく。

腰袋に入れた二枚の赤い紙幣をしっかりと握りしめ、ひたすら俯きながら街へと歩を進めた。幸いなことに、こんな辺鄙な地方の小さな街では、異能力者への管理も他の大都市ほど厳しくはない。

一目見渡すと。

通りも市場も賑わっており、平和な暮らしの光景が広がっていた。

人混みに紛れる私も、次第に緊張が解けていった。ある麺店で少しお金を使って腹を満たした後、バスターミナルの場所を尋ねることができた。

しかし、正規のルートで乗車するつもりはなかった。

結局のところ、乗車には身分証...