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2846話

「そうだな……」

思わず眉をひそめた。

冯漢も私も怪我をしていないのに、どこからか漂ってくるこの薄い血の匂いは何だろう?本当に不思議だ……

「ちょっと待て!」

その時、目の前の冯漢が突然、奇妙な表情で私の後ろを指差した。「お前の後ろにあるのは何だ?」

「銃?」

冯漢の瞳に何かが映っているのを薄々感じ取り、反射的に振り返った。だがその動作が仇となり、黒々とした銃口が真正面から私の額に向けられていた。さらに驚いたことに、その銃は宙に浮いているのだ。まるで何もない空中に漂っている。

まさに幽霊でも出たかのようだ。

「俺に手を出すつもりか?」

心が沈んだ。冯漢の能力は念力で物体を操ることだ。目の前に浮...