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2822話

そして。

手に持っていた探知レーダーを一瞥してからポケットに突っ込み、自分の鋭敏な嗅覚だけを頼りに、血の跡を手がかりにして、あの異能力者が消えた方向へ素早く追いかけた。

鬱蒼とした密林の中で、一人の人間の痕跡を見つけるのは、どれほど難しいことか。

だが、こういったことは私にとってはずっと簡単なことだった。すぐに、林の中を慌てて駆け抜ける影を見つけることができた。

そして相手もまた、私の存在に鋭く気づいていた。

「消えろ!」

相手は私を発見した瞬間、何も言わずにすぐさま攻撃を仕掛けてきた。私たちの間の距離があまりにも近く、ちょうど私が彼の念動力の制御範囲内にいたのだ。

この男が怒りを爆発させ...