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2810話

「数年前、彼はただの普通の工場労働者だった。だが、ある操作ミスで両手を失ってしまった」

「本来なら障害者年金だけで、かろうじて生きていくしかなかったはずだ」

「しかし、あの大雨が彼に極めて強力な能力を授けた。サイコキネシスだ!」

「我々が現在把握している彼の能力の強さは、自分の年齢だけで五トンもの重さの車を動かせるほどだ」

「五トンだぞ」

「ここにいる皆さんも、五トンの重量物に押しつぶされたら、生きては帰れないでしょうね?」

女性は半ば冗談めかして、そう私たちに告げた。

「Sランク、彼は現在S*Wが国内で把握している、まだ逃亡中の数少ないSランク異能者の一人です。彼と対峙する際は十分注意してく...