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2807話

「はい」

私は顔を赤らめることなく頷いた。

目の前の女性の好感を得ることは私にとって有利なことだ。少なくとも、彼女との駆け引きをより余裕を持って行える。

「ふん」

女性が軽く笑い、私を見る目に宿っていた軽蔑の色も幾分薄れたようだった。

二階も三階も、同じような場所だった。エレベーターの表示がなければ、ずっと同じフロアにいて場所が変わっていないと思うほどだ。

ようやく四階に着くと、建物内の光景がやっと様変わりした。

行き交う職員たちは皆忙しなく、一人一人が足早に歩き、私というよそ者に目を向ける暇すらないようだった。

情報指揮部。

女性は私を二つの角を曲がらせた後、広大な部屋へ案内した。二百平米を...