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2736話

「基本的には、私たちを追いかけて捕まえる人間は送ってこないでしょう」

なぜなら軍の連中は皆知っている。私たち二人の脱走囚が、ただの二流三流の落ちこぼれではないことを。

改造人間に対処できるのは、改造人間だけ。

いや違う、異能力者だ。

そして今、彼らが最も不足しているのがその異能力者。そうでなければ、民衆の怒りを買うリスクを冒してまで、一般市民の中から現れた異能力者を捕らえ、軍に協力させるなどということはしないはずだ。

「今、私たちはどこへ行くの?」

男はバックミラーを食い入るように見つめ、一時間以上が経過してようやく、憂いに満ちた視線を引き離した。

私は目の端で彼の握りしめた右手を一瞥し...