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2734話

「まあ、善人ならば良いが、悪事を働く悪党であれば、社会を根底から揺るがすことになるだろう」

だがそれは私が心配すべきことではない。

こんな事態が起これば、国家や公的機関が自ずと介入してくる。ここは二十一世紀、新時代の先端技術兵器は異能者にも有効なのだから。

「考えているよ」

男は頷いてから、自嘲気味に続けた。「誰だってここから出たいさ。本来なら明るい未来があったのに、こんな場所で捨て駒にされるなんてな!」

「私の言うことを聞いてくれれば、ここから逃げ出す手助けができる」私はできるだけ小声で言った。

「冗談を言っているのか?」

当然、彼は信じられないという表情で私を見つめた。私は首を振った。「口...