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2705話

ヴィジェは口を開いて笑ったが、口元の鮮血がその笑顔を異様に不気味なものにしていた。「私は基地内でこれほど長く潜伏していたが、彼に近づく機会がなかった。今、この困難な任務はお前に託す……」

「機械室?どこにある?」

私はヴィジェの手からその歯を受け取り、手のひらで少し重さを確かめた。

小指の先ほどの大きさの歯だが、掌に乗せると意外と重みがある。

「基地の北西の角だ」

ヴィジェは私の腕の通信機の画面に表示された地図を指さした。「あれはあくまで人造人間だ。AIは強力でも、機体の稼働にはエネルギーが必要だ。私の調査によると、一定の間隔であの部屋に行ってメンテナンスを受け、バッテリーを交換してい...