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2567話

「やってみたら?」

私の注意は常に強制収容所にいるその男に向けられていた。直感が告げていた。彼は既に私とデイリーの存在に気付いているのだと。ただ、何らかの理由で明かさず、部下に私たちを包囲するよう命じてもいなかった。

深く息を吸い込み、周囲を慌ただしく行き来する人々に目を走らせると、はっとひらめいた。

彼は部外者が侵入したことは知っているが、まだ私たちを特定できていないのだ。だから行動を起こしていないのだ!

「撤退だ!」

私とデイリーの能力なら、正体がバレたとしても、高確率で安全に撤退できるだろう。だが恐ろしいのは万が一の事態だ。結局のところ、ストロはすでにノース・スピアの連中と関わりを持って...