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2540話

「そうか、よかった」

医者は何度も躊躇った後、それでも言った。「でも、正しい選択をすべきだと思います。彼女を転院させて治療を受けさせるのが、最善の決断だと…」

「あなたの好意はありがたいけど、必要ないんだ」

私はもう通常の医療手段に期待を持っていなかった。医者を断った後、急いで病院を後にし、人混みの多い通りを抜けて、スラム街へと足早に向かった。

今の私がすべきことは、あの少女からできるだけ遠ざかることだ。

だが、わざわざこのスラム街を通る道を選んだのには理由がある。今の私の姿は浮浪者と変わらず、むしろ浮浪者よりもみすぼらしく、しかも体中に血痕がついている。知らない人が見れば、異常者か狂人と思...