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2420話

しかし、私が気を失いそうになったその瞬間、彼は手を離し、新鮮な空気が再び肺に流れ込んだ。かつて味わったことのない爽快感が全身を駆け抜けた。

喉を手で触ると、べたつく血の跡と焼けるような痛みを感じた。

彼の掌から放たれた高熱で皮膚は焦げていたが、大したことではない。すぐに治るだろう。

「お前は自分が頭いいと思ってるのか?」

黒人は元の座席に戻り、真っ直ぐ前を見つめていた。だが、拳を強く握りしめ、腕の筋に青筋が浮き出ていた。

自分の感情を抑えているのだ。

「ああ、そうだ」

私は何食わぬ顔でエンジンをかけ、アクセルを思い切り踏み込んだ。

車が動き出し、夕陽の名残りの熱気が窓から押し寄...