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2384話

しかし会社の命令に従わざるを得ない以上、この木から何かを持ち帰らなければならない。

渾身の力を込めて、鋭い一撃を放った。

バキッ!

一瞬、火花が散り、私が手にしていた精鋼で鍛えられた鋭利なナイフは真っ二つに折れてしまった。一方、この奇妙な形をした木は、爪の先ほどの大きさの破片が剥がれ落ちただけだった。

折れたナイフの半分と木の破片が同時に地面に落ちた。

だが私はそれを拾う勇気もなかった。

じっとこの木を観察し続け、丸一分が経過しても何の反応も見せないことを確認してから、ようやく安堵のため息をついた。

「よかった……」

何も起こらず、すべてが静かだというのに、私は生き延びたような安堵感を覚えてい...