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2368話

私は力を込めて瞼を開いた。視界に入ってきたのは、一面の深い青の光だった。

穏やかで、まるで水のようだ。

それは岩壁に付着した紫色の結晶から放たれていた。この結晶はどこかで見たことがあるような気がする。そう、確かに見たことがある。だが、どこで……

蠍の巣。

複雑に絡み合った記憶の中から、突然この二文字が浮かび上がってきた。

はっとして思い出した。そうだ、以前、天坑の底にある巨大な蠍の巣で、こんな結晶を見たことがある。ただ、数はここほど多くなかったような気がする。

「目が覚めた?」

突然、か細い呼びかけが聞こえた。女性の声だ。

声のする方を探して、虚ろな目を向けると、隣に座っている女性が目に入った...