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2365話

ケイレンが私を非難している最中に、裂け谷の奥から聞こえてくる音はどんどん近づいていた。

彼女に説明している暇はなかったが、振り返った瞬間、裂け谷の底から黒い影が這い上がってくるのが見えた。

二対の黒々とした大きな鋏が揺れ動き、背後の毒針は黒く光っていた。

巨大蠍!

私は心底驚いた。この辺りに生息していた巨大蠍はすべて死んでしまったと思っていたのに、まさかここで生きているものを見られるとは予想外だった。

しかし、こいつは厄介な相手だ。

一匹生きているということは、他にも生きている巨大蠍がいる証拠だろう。おそらく、さっき私が投げ捨てた血と肉に引き寄せられたのだ。

裂け谷の底を覗き込むと、この一匹だ...