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2360話

肉眼で下を見れば、三メートル以内は暗闇に包まれ、その先は濃い白い霧が立ち込めていた。霧は深く、底が見えない。

「ここで任務を遂行したことがあるんだな?」

横にいるカレンは底の見えない天坑を見つめ、本能的に数歩後ずさり、真剣な表情で私を見つめた。「私たち、どうやって下りるの?」

「俺について来ればいい」

私は手で合図を送り、余計なことは言わず、振り返って天坑の縁に沿って歩き始めた。

実のところ、天坑の底へ続く道を見つけられるかどうか自信はなかった。この地形はすでにいくらか変化していたからだ。

記憶を頼りに、私は濃霧の中を慎重に手探りで進んだ。

時折、底の見えない天坑を覗き込む。天坑...