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2356話

私は長い息を吐き、思わず歯を食いしばりながら、バッグからガーゼを引っ張り出した。

力を抜かなければ良かったものを、一度緩めた途端、肩から鋭い痛みが走った。あの怪物に噛まれた箇所は、普段より治りが遅く、痛みも長引いている。

「私がやるわ」

自分で手当てしようとした矢先、カレンが近づいてきた。彼女の足取りはやや覚束なく、表情も少し虚ろだった。

こんな出来事を経験すれば、彼女の心理的負担も相当なものだろう。

とりあえず危険は脱したし、彼女の好意を断る理由もない。ガーゼで傷口を縛られる感覚を味わいながら、私は視線を、ずっと私たちについてきている怪物に向けた。

最初、こいつを連れてきたのは、役立つ助っ人...