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2332話

柿は当然柔らかいのを選ぶべきだ。

私とカレンは何も言わなかったが、互いに意識することなく二人とも左側へ歩み寄った。

しかし柔らかい柿を選んだとはいえ、油断するわけにはいかなかった。

この島の怪物は常識では測れないのだから。ましてや、獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くすというではないか。うっかり油断して命を落としたら、あまりにも無駄死にというものだ。

だが私たちがその怪物に近づくにつれ、それまで静止していた怪物が突然ぴょんぴょんと跳ねだした。

ん?

私とカレンは目を合わせ、首を傾げた。

それでも足を止めることはなかった。

「うわぁ!」

突然、前方から赤子の泣き声が漂ってきて、その...