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2243話

その千載一遇の危機の瞬間、私は10センチほどの折れた牙を掴み取り、奴の眼に向かって容赦なく突き刺した。

ブシュッ!

その獣の逞しい体が一瞬硬直するのをはっきりと感じ取れた。

眼窩から鮮血が噴き出した。

「よくやった!」

ヴィジェイがガラス越しに声援を送ってきた。

だが今の私には彼に応える余裕などなかった。一撃を成功させた直後、この獣が痛みに全身を貫かれた瞬間を逃さず、その眼窩に刺した牙を引き抜き、もう片方の目めがけて突き刺した。

ブスッ!

命中だ!

チンパンジーは痛みに狂ったように、二本の力強い前肢をむやみやたらに振り回したが、両目は既に潰れ、私の姿など見えるはずもない。

「ウオォッ!」

引き...