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2189話

「だって俺が彼を救ったのは、単に利用価値があったからだし、あの必死の行動も火猿がまだ生きているかを確認するためだけだったんだ。

彼に遭遇したのは偶然に過ぎないし、そんなに感謝されるほどのことじゃない。それに俺は他人の恩を受けるのに慣れていないしな」

「必要ない」

私は首を振り、立ち上がってドラム缶の方へ歩き、それを横に倒してゆっくりと前に押し始めた。

この小道が十分に平らなのは幸いだ。こうすれば力が随分と節約できる。

ヴィジェイの傍を通り過ぎる時、私は無造作に言った。「ついてこい。途中で倒れても、俺がお前を連れて行くなんて期待するなよ」

「ありがとう」

こんな恩恵とも呼べない些細な行...