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2177話

「パン!」

私はすぐさま彼の口を手で塞いだ。突然の声が蠍たちの注意を引きつけてしまうのではないかと恐れたのだ。

ちくしょう、いつ喋るでもなく、よりによってこのタイミングかよ。わざと私を困らせようとしてるのか。

だが、今私たちがいる場所は、とても安全とは言えない。

ここで明日まで——蠍たちが一斉に出ていくその時まで——無事に待機するには、あの女王蠍の腹側に隠れるしかない。

立て!

私は両手でこの哀れな奴の肩をつかみ、麻袋を担ぐように彼を担ぎ上げ、アーチ状の鍾乳石から飛び降り、女王蠍のいる場所へと突進した。

幸い、私たちの間の距離はごく短かった。わずか数秒で、この哀れな奴と一緒に女王蠍の腹側に這い...