Read with BonusRead with Bonus

2116話

下へと視線を落とすと、ゆったりとした浴衣は彼女のしなやかな曲線を隠しきれず、濡れた髪が肩に貼りついていた。どうやら今しがた入浴を済ませたようだ。

私は口を開いたものの、言葉が喉元まで溢れながらも何を言えばいいのか分からなかった。

玉城瑶は私を見た瞬間、一瞬固まったが、すぐに我に返ると、廊下にいる人々の羨むような視線も気にせず、ドアを開けて真っ直ぐに私の胸に飛び込んできた。

「あなた、やっと帰ってきたのね！」

「ああ……ただいま」

私は静かに玉城瑶の香る肩を抱き寄せ、湿った髪に顔を埋めた。かすかな香りが鼻をくすぐり、この素晴らしい瞬間を心ゆくまで味わった。

彼女が無事だと分かり、胸に...