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2102話

「もう逃げられないからね」

突然、磁性を帯びた声が響いてきた。

私は記憶力が優れているため、一瞬でこの声の主が先ほどの改造人だと判別できた!てっきり爆発で死んだと思っていたのに!

彼の能力を思い出し、すぐに行動しなければならないと悟った。

だが振り向く前に、目の端で火猿の体に蛇のような血液が音もなく絡みついているのが見えた。

「ご、ごめんなさい」

マーシャは恐怖に顔を引きつらせながら数歩後ずさり、言いかけた言葉を飲み込んだ。

「ふっ」

私は軽く笑い、親指大の通信機を取り出した。その上には赤いボタンがついている。

これは出発前に組織の支部責任者から私たちに渡されたものだ。

一人一つ、このボタンを...