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2022話

いつの間にか、王兄は窓際に立っていた。外をちらりと見やると、腰からピストルを取り出し、背水の陣を敷く覚悟を決めたようだ。「奴らがもう来ている。死に物狂いで戦うしかない」

「お前の息子のことを考えろ!」

私は二歩前に出て、彼の手からピストルを奪い取り、肩を掴んで火猴に押しやった。「こいつを連れて行け。俺が奴らの足止めをする!」

「離せ!」

王兄はまだもがいていたが、ごつい体格の火猴に力で勝てるはずもない。しかも今のような接近戦では、あっという間に火猴に完全に抑え込まれてしまった。

だが数秒経っても、火猴はその場に立ったまま動こうとしなかった。

傍らの李欣も唇を噛みしめ、ここを離れる気...